つまみ動作の痛みを抑える
2025年10月8日
つまみ動作の痛みを抑える
親指の付け根(母指CM関節)が痛くてビンのフタや洗濯ばさみがつらい…。その原因と見極め、今日からできる対処、横須賀市の当院でのサポートをまとめました。詳しくは母指CM関節症ページもご参照ください。
公開・更新:2025-10-08
まず要点
起こるしくみと症状
母指CM関節は回旋とつまみに特化した関節で、繰り返すピンチ(つまみ)・ひねり・荷重で関節面や周囲組織に負担が蓄積します。筋力低下や関節のゆるみ、姿勢(手首の反り過ぎ)も影響します。
- 主な症状:ビンのフタ開け・つまみ動作での痛み、付け根の腫れ・熱感、親指の付け根が四角く見える変形感、つまむ力の低下。
- よくある誘因:長時間の家事・育児、スマホやタブレットの固定持ち、工具作業、楽器演奏など。
- 似た症状との違い:ドケルバン病は親指側の手首(長母指外転筋腱・短母指伸筋腱)で痛み、フィンケルシュタインテストで誘発。CM関節炎は付け根のつまみ・ひねりで増悪しグラインドテストで誘発しやすい、など。
見極めポイント
- 場所:親指付け根(手のひら側のくぼみ周囲)を押すと痛い。
- 動作:フタ開け、洗濯ばさみ、書類クリップ、鍵回し、袋の口をひねる動作で痛む。
- 赤旗症状:発赤・著しい腫れ・夜間痛の増悪、外傷後の激痛や変形、しびれや脱力が強い場合は医療機関へ。
- 検査:必要に応じX線で関節裂隙や骨棘、超音波で滑膜炎・関節液増加の評価を行います。
今日からの対処
- 使い方の見直し:フタ開けはゴム手袋や滑り止めマットを使用。つまみより包み込み握りに切り替え、手首を反らし過ぎない。
- 短時間の保護:市販の母指CM関節サポーターやテーピングで痛みが強い家事・作業を乗り切る(常時固定は避け、外して軽い動きを入れる)。
- 運動(1日2〜3回):
- 親指のC字ストレッチ:親指と人差し指で軽くCを作り、付け根を気持ちよく伸ばす×20〜30秒。
- 母指対立の滑り運動:親指腹で示〜小指を順にタッチ×5周。
- 母指外転・伸展の等尺:痛みの出ない範囲で壁やゴムに軽く押し当て各5秒×10回。
- 温冷:急な増悪時はタオル越しに10〜15分冷却。慢性的なこわばりには温め+運動。
- 負荷の配分:重い物は両手で、買い物はリュックに。ペットボトルのフタはオープナーを活用。
当院の施術
トムソンテーブル施術
肩甲帯〜肘〜手関節の連動をやさしく整え、手首の反り過ぎ・親指への集中負荷を減らします。痛みを誘発する矯正は行いません。
ハイボルテージ施術
痛み・こわばりの緩和を短期的に補助。禁忌に配慮し必要な期間のみ実施します。詳細はこちら。
鍼灸
母指球・前腕屈筋群の緊張を調整し、使用時痛の軽減を狙います。刺激量は体調に合わせて調整。詳しくは鍼灸施術へ。
横須賀市(北久里浜・衣笠)での受診・通院はアクセス・料金をご確認ください。
関連ページ
患者さまの体験談
フタ開けの痛みが半減
60代・女性・主婦・4週間
- 状況:料理でのひねり動作と洗濯ばさみで付け根がズキッ。
- 行ったこと:CM関節サポーター短時間使用、手首角度の工夫、母指対立運動、必要時にハイボルテージ。
- 経過:2週で日中痛みが3/10、4週でフタ開けは滑り止め併用で可能に。
事務作業とスマホ持ちが楽に
40代・男性・事務職・5週間
- 状況:スマホ固定持ちとファイルつまみで疼痛。
- 行ったこと:把持法を包み込み握りへ変更、前腕の等尺、鍼灸少量、作業合間のストレッチ。
- 経過:3週でつまみ痛が半減、5週で残るのは長時間作業後の軽い張りのみ。
※掲載はご本人同意のもと匿名化。赤旗症状は医療機関へ。
よくある質問
保存療法でどのくらい良くなりますか?
多くは装具・使い方の工夫・運動療法の組み合わせで軽快が見込めます。痛みや機能低下が続く場合は医療機関で注射等を検討します。
サポーターはずっと着けてよい?
痛みが強い作業時などに限定し、外せる時間は軽い運動を入れましょう。長期の常時固定は筋力低下につながることがあります。
腱鞘炎との違いは?
腱鞘炎は親指側の手首で痛み、親指を握って手首を小指側に倒すと痛む(フィンケルシュタイン)。CM関節炎は付け根つまみ動作で痛みが強く出ます。迷ったら評価にお越しください。
参考・出典
- AAOS OrthoInfo: Thumb (CMC) Arthritis
- NICE CKS: Hand Osteoarthritis — Management
- British Society for Surgery of the Hand: Thumb Base (CMC) Arthritis
- J Hand Surg Review: Nonoperative Management of Thumb CMC Osteoarthritis
※適応は評価のうえ判断します。重い症状は医科へ。















