階段で膝下がズキッと痛む

2025年10月12日

階段で膝下がズキッと痛む

階段やジャンプで膝のお皿の下がズキッと痛む——成長期に多いオスグッド病かもしれません。原因と見極め、今日からできる対処、運動復帰までを横須賀市(北久里浜・衣笠)の当院がやさしく解説します。まずは基礎情報ページオスグッド病もご覧ください。

公開・更新:2025-10-12

まず要点

  • 成長期(小中高生)に多く、膝蓋腱が脛骨粗面(膝下)を強く引っ張ることで痛み・腫れ・出っ張りが出ます。
  • 階段・ダッシュ・ジャンプ・正座立ち上がりで悪化しやすく、休息と負荷調整が回復の近道です。
  • 運動は「完全中止」より、痛み0〜3/10で収まる範囲へ調整しながら継続するのが目標です。
  • 横須賀市の当院ではフォーム・柔軟性・足部アライメントを評価し、再発しにくい動きづくりをサポートします。来院の流れはアクセス・料金へ。

症状と起こるしくみ

膝蓋腱が成長期の脛骨粗面(けいこつそめん)を繰り返し牽引し、骨端核と腱付着部にストレスが集中。走る・跳ぶ・方向転換・階段などで痛みが出ます。大腿四頭筋の硬さ、股関節や足部の動きの癖、急な練習量増加、シューズ不適合などが関与します。

  • 主な症状:膝下の圧痛・腫れ・出っ張り、運動後や翌朝の痛み、正座・膝つきでの痛み。
  • 左右差:片側優位が多いですが、両側のこともあります。
  • 鑑別:有痛性分裂膝蓋骨、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、離断性骨軟骨炎、滑液包炎、感染徴候など。

見極めポイント(受診目安)

  • セルフチェック:膝下(脛骨粗面)を押すと痛い/階段・ジャンプでズキッ/正座・膝立ちで痛い。
  • 受診の目安:夜間痛・安静時痛が強い、熱感・赤みが目立つ、明らかな腫れが引かない、プレーに支障が大きいとき。
  • 画像評価:必要に応じX線で骨端の状態、超音波で腱付着部や滑液包の炎症・血流を確認します。

今日からの対処

  1. 練習量の調整:ジャンプ・ダッシュ・階段ダッシュを一時30〜50%減。試合は出場時間を短縮し、ポジションも負担の少ない役割へ。
  2. 痛みの基準:活動中の痛みが0〜3/10に収まる範囲なら可。翌日に増悪するなら量・強度を下げます。
  3. ストレッチ(毎日)
    • 大腿四頭筋:立位で足首を持ち、膝を揃えて20〜30秒×3。
    • ハムストリング・ふくらはぎ:各20〜30秒×3。
    • 股関節前面:ランジ姿勢で20〜30秒×3。
  4. 筋トレ(週4〜6):痛み0〜3/10で
    • ヒップヒンジ(殿筋・ハム)10回×3。
    • クラムシェル(中殿筋)15回×3。
    • ウォールスクワット(膝前に出し過ぎない)10回×3。
  5. 患部ケア:練習後はタオル越しに10〜15分冷却。就寝前は軽い温め+ストレッチでこわばりをリセット。
  6. 用具:踵の内外傾きが強い場合は医療用インソールで荷重線を整えると楽です。
  7. 正座・膝つき:痛みが強い時期は薄いクッションを使用し、膝つき動作を短時間に。

当院の施術

トムソンテーブル施術

骨盤・股関節・足部の連動をやさしく整え、膝前面への牽引ストレスを減らします。痛みを誘発する矯正は行いません。

ハイボルテージ施術

練習期の疼痛コントロールを短期的に補助。禁忌に配慮し、運動療法と併用します。詳細はこちら

鍼灸

大腿四頭筋や股関節周囲の過緊張を調整し、膝下への牽引を間接的に軽減。刺激量は体調と年齢に合わせて調整します。詳しくは鍼灸施術へ。

患者さまの体験談

階段とダッシュがつらい野球部

中学2年・男子・野球部・5週間

  • 状況:階段とダッシュで膝下がズキッ。膝つきで痛む。
  • 行ったこと:練習量50%に調整、四頭筋ストレッチ、股関節トレ、フォーム修正、必要時にハイボルテージ
  • 経過:2週で日常痛が半減、5週でシートノック全力可に。正座痛は薄いクッションで対応しつつ改善中。

バスケ部、ジャンプ後の痛みが軽快

高校1年・女子・バスケットボール・6週間

  • 状況:リバウンド後と階段で膝下が痛む。朝のこわばりも。
  • 行ったこと:着地フォーム(股関節主導)とシューズ見直し、インソール導入、ハム・殿筋強化、鍼灸少量。
  • 経過:3週で連続ジャンプが可能、6週で実戦復帰。翌日の張りも許容内に。

※掲載はご本人同意のもと匿名化。赤旗症状は医療機関へ。

よくある質問

運動は完全に休むべきですか?

痛みが0〜3/10で収まり翌日に増悪しない範囲なら、メニュー調整で継続可能です。ジャンプ・ダッシュは段階的に戻します。

膝下の出っ張りは元に戻りますか?

成長が落ち着くと痛みは落ち着くことが多いですが、骨の出っ張り自体は残る場合があります。日常生活への影響は少ないことが一般的です。

サポーターやテーピングは有効?

膝蓋腱への牽引を和らげるタイプは一時的に楽になりますが、根本は柔軟性・フォーム・練習量の調整です。長期の常用は避け、並行して運動療法を行います。

この記事の執筆者

堀江 茂樹(鍼灸整骨院ひまわり 代表施術者)

  • 柔道整復師(機能訓練指導員認定)/はり師・きゅう師
  • 柔道整復師臨床実習指導者
  • あん摩マッサージ師、はり師及びきゅう師臨床実習指導者
  • JSBM会員

最終更新日:2025-10-12

参考・出典(一次情報)

  1. AAOS OrthoInfo: Osgood-Schlatter Disease
  2. NICE CKS: Knee pain in children — Osgood-Schlatter disease
  3. Radiopaedia: Osgood-Schlatter disease
  4. BJSM: Management of paediatric soft tissue knee injuries(関連レビュー)
  5. Cochrane Review(小児膝痛管理のエビデンス概観)

※個別の適応は評価のうえ判断します。発熱・著しい腫れ・外傷後の激痛は医療機関へ。