ドケルバン症|仕事で痛みを減らす方法
2025年10月19日
ドケルバン症|仕事で痛みを減らす方法
- 痛みが強い日は「使い過ぎを減らす+保護」が基本です。サムスプリント等で親指を安静にし、必要に応じて短時間のアイシングを行います。
- 姿勢と入力デバイスの見直しで再発を予防します。手首は中間位、つまみ動作を減らし、掌全体で「乗せる」持ち方へ。
- マイクロ休憩(30–60分ごと1–2分)と、小さな可動域運動で循環を保ちます。
- 夜間痛・腫れ・しびれの増悪、2週間以上改善しない場合は評価をご相談ください。
- 基礎知識は当院の解説ページ「ドケルバン病(腱鞘炎)」をご覧ください。
ドケルバン症の痛みが出る理由
親指を広げる筋(APL)と伸ばす筋(EPB)の腱が、手首の親指側にある「トンネル(第1背側区画)」でこすれて炎症が起きると、親指側の手首の痛み・腫れが出やすくなります。くり返し動作や長時間の固定姿勢、片手でのつまみ動作が続くと悪化しやすいです。
似た痛みとして母指CM関節症があります。付け根がズキッとする/ふくらむ感じが強ければ、こちらの可能性も考えます。見分けのコツはブログ「親指付け根の痛み,CM関節炎?」や固定ページ「母指CM関節症」をご参照ください。
デスクワーク:今日からできる調整
- 手首は中間位(反らさない/曲げない):パームレストは「寄りかかる」程度に。キーボードは肩幅内、肘は90度目安。
- マウスの工夫:小型より中型〜やや大きめで、つままず掌に「乗せる」。ドラッグの多い作業はトラックボールやショートカットで負担を減らします。
- 親指ショートカットの見直し:コピー/貼付など親指多用の割り当ては他指へ振り分け。
- マイクロ休憩:30–60分ごとに1–2分。親指を軽く開閉、手首を中間位でくるくる回す小運動を。
- タッチタイピングの姿勢:肩をすくめない、脇を軽く閉じる、画面は目線やや下で首を前に出しすぎない。
基本の対策は当院ブログ「手首の腱鞘炎対策と予防」にも詳しくまとめています。
現場作業・接客・家事育児:持ち方と段取り
- つまみ→挟む/抱えるへ:洗剤ボトルや工具の持ち方を、親指先のピンチではなく掌で面で支える持ち方に。
- 回す・ひねる作業:ゴム手袋や滑り止めで必要な力を減らします。キャップはオープナーを活用。
- 繰り返し動作は左右交互に:抱っこ・買い物袋・端末操作は左右で分散。
- 段取り:重い物は台まで滑らせる/台車を使う/高さを合わせるなど「持ち上げない工夫」を。
腱鞘炎と家事・育児のコツは、まとめ記事「腱鞘炎とドケルバン症は整骨院が安心」もご参考ください。
装具・テーピングの使い分け
| 場面 | おすすめ | ポイント |
|---|---|---|
| 仕事のピーク時/痛み強い日 | 母指スパイカ型サポーター | 親指の外転・伸展を制限。血行を妨げない強さで。 |
| 軽作業・PC中心の日 | テーピング(軽い補助) | 皮膚休息をはさみ、かゆみ・赤みが強い日はお休み。 |
| 帰宅後・就寝前 | 短時間のアイシング(必要時) | タオル越しに15–20分。凍傷に注意。熱感が引いたら温めは控えめに。 |
症状の全体像や受診の目安は、当院の解説「ドケルバン病(腱鞘炎)」をご覧ください。
1日のセルフケア計画(目安)
- 出勤前:サポーター装着→デスクの高さ・マウス位置を確認。
- 午前:60分ごとにマイクロ休憩。親指の開閉3〜5回、手首の中間位くるくる10回。
- 昼休み:指先を使わない持ち方で配膳。必要時に短時間アイシング。
- 午後:重作業は分割。左右交互で持つ/回す。
- 帰宅後:痛みの強い日は保護を継続。入浴はぬるめ短時間、長風呂は控えめに。
受診のサイン(見逃したくない症状)
- 夜間痛が強い/安静でもズキズキする
- 親指を動かしづらい、つまみ力が明らかに落ちた
- 腫れ・熱感が引かず悪化している
- しびれ・感覚低下を伴う(別の病態の可能性)
- 2週間のセルフケアで改善が乏しい
状態により医療機関での評価が必要です。当院では適切な医療機関への紹介状をご用意します。
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執筆者情報
執筆者:鍼灸整骨院ひまわり 代表施術者 堀江茂樹
株式会社ライフプラス代表取締役/一般社団法人スポーツ ウェルビーイング推進協会代表理事
免許・資格:JSBM会員/機能訓練指導員認定柔道整復師/柔道整復師/はり師/きゅう師/柔道整復師臨床実習指導者/あん摩マッサージ師・はり師・きゅう師臨床実習指導者
参考文献・一次情報
免責とご注意
本記事は一般的な健康情報であり、個々の診断・治療の代替ではありません。夜間痛や腫れの増悪、しびれ、2週間以上の改善なしは評価をご相談ください。















